限定承認の相続債権者の請求
限定承認者は、公告・催告期間の満了前は、相続債権者・受遺者に対して弁済を拒むことができます。
(公告期間満了前の弁済の拒絶)
民法第928条 限定承認者は、前条第1項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
民法第936条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3 第926条から前条までの規定は、第1項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第927条第1項中「限定承認をした後5日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後10日以内」と読み替えるものとする。
限定承認した相続人に対する相続債権者の相続債務の請求には、相続財産の限度において弁済すべき旨を留保した上で、その全額について給付判決をします。
右判決が確定しているときは、債権者は相続人に対し、後訴によって、右判決の基礎となる事実審の口頭弁論終結時以前に存在した限定承認と相容れない事実を主張して、右債権のつき無留保の判決を求めることはできません。
被相続人は生前所有不動産に抵当権を設定したが設定登記未了のうち死亡したので債権者が抵当権設定の仮登記を経由し、相続人が限定承認をした後、債権者が抵当権設定の本登記を請求した場合、限定承認の効果は相続開始の時に遡って生ずるので本登記をしてもこの抵当権は他の相続債権者に対抗することはできず、また、相続人は本登記請求に応ずれば単純承認したとみなされるのであるからこの請求に応ずる義務はないとした事例があります。
(公告期間満了後の弁済)
民法第929条 第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
「優先権を有する債権者の権利」に当たるというためには、対抗要件を必要とする権利については、被相続人の死亡の時までに対抗要件を具備していることを要し、相続人が存在しない場合、相続債権者は、被相続人からその生前に抵当権の設定を受けていたとしても、被相続人の死亡の時点において設定登記がされていなければ、他の相続債権者及び受遺者に対して抵当権に基づく優先権を主張できないし、被相続人の死亡後に設定登記がされたとしても、これによって優先権を取得することはないとされています。
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